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月報2021年2月号〜作業の効率化は、「定位置」の確認から

 今回は「モノの置き場所」=「定位置」の重要性について考えてみたいと思います。
 私たちCAが航空機に乗り込んで、最初にすることは何かご存じでしようか。それは、非常用機器の確認です。航空機には消火器や救急箱はもちろん、緊急着陸水時に救援部隊に場所を知らせる信号機、煙や有毒ガスなどを遮断しながら呼吸用の酸素が供給されるフードなど、多くの非常用機器が搭載されています。こうした機器を点検するのが機内での最初の仕事です。確認内容は機器によって違い、個別に詳細が決まっていますが、共通するのは①定位置にあること、②必要時にすぐに使用できる状態であること、の2点です。

■「どこ」に「何が」を共通認識

 航空機の非常用機器はすべて国際規定で定められていて、フライト前の確認で不備や不足があれば、それが解消されるまで出発できません。そのため非常用機器をいかに短時間で確実に確認するかが重要で、CAには手際の良さが求められます。「ご搭乗ありがとうございます」とお客様をお出迎えしているCAはその笑顔の前に、汗だくでこの業務をおこなっているのです。
 こうした非常用機器をはじめ航空機内の物品は、すべて「定位置」が決まっています。それは、「いつ」、「だれが」、「どこを」担当しても、すべての乗務員が「共通認識」として確実に把握していることが必要不可欠だからです。そうでなければ、緊急時や必要な場合に対応できません。「人が入れ替わったら、他の人には場所が分からない」、「担当場所がかわったら、探すのに時間がかかった」では安全な運航はできませんし、機内サービスの質にも影響が出ます。
 そして、機内の機器の定位置は、それを使う場面で迅速にアクセスできる場所に決められています。例えば、機内で使用する消火器は客席や化粧室の近くにあリます。-方で、機外で使う信号機などがドアサイドにあるのは、緊急脱出の直前に持ち出すためです。「いつでも、だれでも、速やかに」、これが定位置の三原則です。

■1日5分が積み重なれば

 歯科医院でも、実に多くの機器や物品が取リ扱われます。それらは、この定位置の三原則に則った場所に配置されているでしようか。私が研修などでお邪魔するクリ二ックは、物品が整理整頓されて整然としているところもある 一方で、一部の物品が使いにくい場所にあリ、それを見直せばスタッフさんの無駄な動きが減って楽に業務が進むのにと思うところもあります。
 たとえば、照射器や精製水、次亜塩素酸水など、そのクリ二ックで日常よく使う物品が、使用する場所から離れたところに配置されているケースです。この場合、取リに行くのに1 5秒のタイムロスが発生するとして、往復では30 秒。これが1日に1 0回あれば、300秒( 5分)のロスです。それが週6日で3 0分、1か月( 4週間)で2時間、1年ではなんと24時間のタイムロスとなります。
 先生がたは、「日常の業務に追われて、そんなことを見直している暇はない」とおっしやるかもしれません。その場合は、1日に1分でも2分でも、スタッフさんとリラックスしてお話しする時間を作られてはいかがでしようか。いいアイデアや業務改善のヒントは、緊張がほぐれ、誰かとコミュ二ケーションをとっている時に生まれます。先生がリラックスしていればそれは周囲に連鎖して、スタッフさんのほうから自然に、「〇〇は、こう改善すれば良くなると思いますよ」とか、「〇〇は、この場所に置くのはどうですか?」という提案が出てきます。タイムロスが1日に 5分あることを考えれは、その時間をクリ二ック内のコミュ二ケーションに充てることはとても有効な時間の使い方になるでしよう。
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