クリニックでは毎朝、先生もスタッフさんも笑顔で挨拶を交わされていますか？ スタッフさんは明るく活き活きとお仕事をなさっていますか？ スタッフさんが大切にされ安心して働いている職場は人を引き付ける活気に満ちた雰囲気にあふれています。
■信頼されることが挑戦の意欲に
私がアムステルダム線の乗務を始めて数か月たったころのことです。最も忙しいポジションであるエコノミークラスの後方の客室を３人で担当しました。欧州線のような長距離路線では２回のお食事のサービスの合間にCAは２交代で休憩をとるのですが、その日は私が後半にひとりでその客室を受け持つことになりました。後半の担当CAはサービスに備えて100人分以上のパンやお食事をオーブンで温めたり飲み物を用意したりします。慣れたCAならひとりでも上手く時間配分をしてスムーズにこなしますが、私は個別のお客様対応に追われこれらの準備が半分ほどしかできませんでした。そして２人のCAが休憩から戻る頃にはサービス開始まで10分ほどしかなく、「こんな状態を２人が見たら…」と青ざめました。 ところが２人は驚くこともなく涼しい顔でテキパキと私がやり残した準備を進めていきます。でもやはり大変だったことは間違いなく、エコノミークラスのパーサー（責任者）は全身から汗が噴き出していました。３人で力を合わせたリカバリーで何とかサービスは無事に終わりましたが、本当に申し訳なく思った私はサービスの後「準備ができてなくて２倍働かせてごめんなさい」と謝りました。するとパ ーサー は、「こ のポ ジ シ ョ ンはずっと忙しいからね！あなたもよく働いたわ！もし私が２倍働いたというのなら、その分２倍ぐっすり休めるからラッキーよ！」とお茶目に笑いました。 失敗を責められたりオープンに気持ちを伝えられなかったりする職場であれば、私は以後このポジションを避けるようになったでしょう。でもこのように信頼され助け合える環境にいると、次も挑戦して自分ももっと役に立つ存在になりたいと強く願うようになります。これがその組織を強くする信頼関係です。この関係が築ければ失敗を恐れず安心して新しいことにも挑戦するようになります。それが本人はもとより組織全体を成長させ、さらなる顧客満足へと繋がっていきます。
■大切な人のためなら自ら努力する
私がクリニックでの研修のため打合せすると院長先生は大きく２つのタイプに分かれます。ひとつはスタッフさんのいいところをたくさんお話しくださる方、もうひとつはマイナス面を中心に話される方です。もちろん研修はそのようなお悩みを解決するためにおこなうので信頼してお話しいただけることはとても有難く、私もその課題解決のために全力で取り組みます。 ただ実際にスタッフさんに接するとどちらのタイプのクリニックでもスタッフさんはよくお仕事をなさっているということも多く、違うのは、前者では「院長先生から信頼されている」という安心感と自信がスタッフさんから感じられることです。例えばそのようなクリニックでは皆様とても積極的に挨拶をなさいます。それはちょうど大切な家族の友達が家にやってきたときと同じです。人は自分を信頼し大切にしてくれる人のためなら、たとえその人が見ていなくても精一杯努力します。それが診療以外の受付や電話応対などの場面でも患者様への丁寧な対応に繋がっているのです。 先生方のクリニックではスタッフの皆様は安心して日々の業務に取り組まれているでしょうか。それを確認するには普段からのコミュニケーションや面談などでスタッフさんの話をしっかり聴くことが大切です。また定期的なスタッフ満足度調査も有効で、私も研修のなかでおこなうことがあります。すると意外なことで院長先生とスタッフさんの間で行違いがあったり、少し話せば解決することがそのまま放置されて問題が大きくなっていたりすることがあります。もちろん一方で、先生方が思われる以上に院長先生がスタッフさんから信頼、感謝されているというケースもあります。 クリニックでは患者様満足を常に考え、そのためにまずはスタッフさんが安心して仕事に取り組める環境や雰囲気づくりをしなければなりません。それは組織トップのリーダーシップにかかっています。先生からの信頼がスタッフさんに浸透しているクリニックならおのずと、スタッフさんも患者様も幸せに過ごせる魅力的な場所になっていることでしょう。
The smart leader makes the staff happy,
and the happy staff makes the patients happy!!
約１年間、松井会長や広報委員会、事務局の皆様の特別なご配慮で寄稿させていただきました。これまで寄稿文をお読みくださった皆様方に心より御礼申し上げます。今年度は歯科助手講習会なども開催されますので、今後はそのような講習会やクリニックでの研修にて皆様とお目にかかれますことを楽しみにしております。 最後に読者アンケートを用意しました。先生方はもちろん、どなたからでもご感想や率直なご意見などお寄せいただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。下のQRコードからアンケートにアクセスしていただければ幸いです。
